ぶどうとゆずは食後がいい

 午後の風はほどよく、心地よかった。 「人間はなんで生きるんだと思う?」  隣に座る柚子は顔を顰めた。「人が食後のリラックスタイムを楽しんでるときに何言ってんの?」 「いや、たまにいつも思うんだよ」 「どっちなのか問い詰…

【十二と時針シリーズ】丑二つ

目が覚めたとき、僕はどこかの狭い倉庫らしきの中にいた。らしき、というのは判断材料が乏しいことに起因するのだけれど、まあ居住スペースでないことは床を見れば一目瞭然だった。こんな砂塗れのざらついたところで、窓もなく、しかも蛍…