あくまでも、
――こんばんは。 そういって入ってきたのは気弱そうで、大人しそうで、虚弱そうで、自信なさそうな、 …
河童
最近河童が家に出る。来るのではなく出る。いつの間にか布団に胡坐をかいて暇そうに欠伸をしている。訪問者…
【十二と時針シリーズ】寅一つ
「こんな時間にどうしたんだ」 「こんな時間とはなんじゃ。いつものことじゃろう」 「まあ、そうだが」 …
【十二と時針シリーズ】丑一つ
友達を作るのに必要なものと聞かれて、思い浮かぶのはなんだろうか。 共通の趣味。似た境遇。偶然。容姿。…
【十二と時針シリーズ】未一つ
最近よく昔を思い出す。そう言うと決まって歳をとったのだなと笑われる。 「おかしいね。あたしと同い年な…
未完成
降水確率は十五パーセント。天気予報士が信用できない情報を読み上げる。 この天気予報士は外すことで有名…
【十二と時針シリーズ】丑二つ
目が覚めたとき、僕はどこかの狭い倉庫らしきの中にいた。らしき、というのは判断材料が乏しいことに起因す…
探偵 #1
探偵というものほど、理想と現実がかけ離れた職業はないでしょう。 難事件を解決することもなければ、警察…
時時雨はかり 壱
前 私は目を覚ました瞬間、今の時刻が夜中の三時二十二分だと知っていた。直感や勘といった…
物心 「シャープペンシル」
八百万の神や付喪神を知っているだろうか。 聞いておいて申し訳ないけれど、詳しくは俺も知らない。す…